コロナワクチン接種率が高い国で感染者・死者が急増、原因は
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世界で最もワクチン接種率が高くなっている国の一部で、新型コロナウイルスの感染者が再び急増、死者も大幅に増加している。
感染者と死者が増えているのは、少なくとも1回は接種を受けた人の割合が最も高いセーシェル(72%)と、それに次いで高い水準にあるモルジブ(57%)、チリ(56%)、バーレーン、(55%)、ウルグアイ(51%)など。
ウルグアイはここ数週間、人口10万人あたりの死者数が最も多くなっている。モルジブとバーレーンは、5月中に報告された10万人あたりの死者数が米国、インドを大幅に上回った。また、チリ、セーシェルは、世界で最も早いペースで感染者が増加している。
こうした国について専門家らは、人々の行動を制限してきた規制の解除を急ぎすぎたこと、それが国民に過度の安心感を与えてしまったことが原因の可能性があると警告している。
バーレーンの保健省高官は感染者の急増について、検査数を増やしたことに加え、ラマダン(断食月)に人が集まる機会が増えたこと、ラマダン明けの祭り(イード・アル・フィトル)があったことなどを理由に挙げている。
ただ、行動規制の緩和は、感染拡大の要因となるものの一つにすぎない。新たに出現する変異株が、再び感染者を増やし始める可能性もある。例えば、ウルグアイで(接種が進んだ後に)再び流行が拡大したのは、ブラジルで最初に確認された変異株(P.1)が主な原因とみられている。
また、接種率が高い一方で感染者が増えているこれらの国では、多くが中国のシノファーム(中国医薬集団)製のワクチンを使用している。バーレーン、そして同じ中東のアラブ首長国連邦(UAE)はすでに2回の接種を完了した人を対象とするブースター接種も行っていることから、感染を防ぐことに対する同社製ワクチンの有効性について、懸念が高まっている。
セーシェルの保健当局が5月中旬に明らかにしたところによると、同月第1週に感染が確認された人の3分の1以上は、接種を完了した人だった。この大半がシノファーム製の接種を受けており、同国の感染状況については世界保健機関(WHO)が調査を行っている。
「誤った安心感」に要警戒
米国はその他の多くの富裕国と同様、ワクチン接種の推進を、パンデミックに伴う経済的・社会的な行動制限からの出口戦略と位置づけている。米疾病対策センター(CDC)は先ごろ、接種を完了した人の割合が高くなったことを理由に、マスク着用に関する指針を変更。接種を完了した人は屋内の公共の場で、マスクをせず、ソーシャルディスタンスを取らなくてもよいこととした。
複数の州当局はこれを受け、相次ぎマスク着用に関する規則を緩和している。だが、ワクチン接種率が頭打ちになる中、また一定の割合の人たちが接種を拒否し続ける中、そうした方針転換が今後の感染拡大の抑制において賢明なものであるのかどうか、疑問視する向きもある。
専門家や当局関係者らは、感染者が再び増加に転じる恐れがあるとして、国民には過度の安心感を持たないよう、当局には規制の解除を急がないよう、注意を促している。
また、米国では世論調査の結果から、ワクチン接種を受けた人より未接種の人の方が、パンデミック前の日常と同じように生活することへの安心感を持っていることが分かっている。この安心感が、行動規制の緩和を進める各州当局にとっての問題となる可能性もある。
Robert Hart
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